世界中で古くから栽培されている。青森の三内丸山遺跡(5000年以上前)周辺では、ナラやブナを伐り、クリを育てていたらしい。日本では40種類ほど、世界では100種類ほどの栽培品種がある。
明るい森が好き。ヒノキ林や照葉樹林の端っこ、竹やぶ、伐採跡地などにも見られる。他の木に追い抜かれたり、竹が密生して暗くなると枯れていくので、自然の森の中で長く生きているケースは少ない。かつて見られた野生の栗の林は、人が手を入れ続けて作られたもの。
食べられる実は、早生から晩成まで、多種多様な栽培品種があり、組み合わせて植えれば長い間収穫を楽しめる。品種によって保存性、活きる調理法が違い、主食からスイーツまで様々に利用できる。炭水化物の他、ビタミンB1、タンニン(ポリフェノール)、カリウム、ビタミンCなどを含み、スーパーフードとも言われる。縄文時代の縄文クッキーは、クリやクルミの実に野生鳥獣の肉と血、骨髄や卵などをすり潰して混ぜ合わせ、焼き上げたもので、高カロリーの栄養食だった。イガ、葉や樹皮も染料となり、タンニンの多いイガは発色もいい。古くから主食とされていたことから、縁起物としても扱われる。東日本~東北では門松に栗の若木を添えたり、関西でも栗の若枝を祭礼に使う事がある。実を乾燥させた保存食、搗栗(かちぐり)は、臼で搗(つ)いて渋皮を取り除いた作り方から来た名前だが、かち=勝ちと戦国時代に縁起を担ぐ食べ物とされ、重宝された。今の正月の料理でも、歯固めや金運を祈るなどの意味が込められている。木材としては、特に心材が耐朽性が高く、家の土台や柱、壁板、鉄道の枕木、船舶、車両材、漆器木地、家具や彫刻に利用された。鉄道枕木用の伐採で木材の蓄積は減っていて、大きな木は貴重。